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Event Reports

Mar 21, 2017

innotalk report「人工知能と『遊び心』によるイノベーション」事業構想大学院大学教授 小塩篤史さん

2016年度第7回イノトーク
事業構想大学院大学教授、株式会社IF代表 小塩篤史氏
2017年3月1日開催

innotalk

3月1日、「人工知能と『遊び心』によるイノベーション」というテーマのもとに多くの人が集まりました。スピーカーは事業構想大学院大学教授、株式会社IF代表の小塩篤史さんです。

自己紹介で小塩さんは、三つの「人称」からなるベン図で自らのキャリアを表し、自分の強みは「一人称・二人称・三人称」全てを持つことだと話しました。「一人称」は自ら立ち上げたIF Inc.で活動する起業家、「二人称」は大学での起業・スタートアップ支援、「三人称」はデータから状況を俯瞰する研究者を表します。

事業構想とは簡潔には「目標を決める技術」です。まず社会の理想像を定義し、そこから実現への道筋を逆算することで事業は作られます。
その評価基準について、小塩さんは先ほどのベン図を「情報の人称性」の図として用い説明しました。「一人称」が自分の体験、「二人称」は共感を生む相手の体験、「三人称」は客観的な情報です。一人称と二人称の共通領域を「使命感」、一・三人称を「独創性」、二・三人称を「持続可能性」とし、その 3領域の交点に良い事業が構想されると小塩さんは話しました。
しかし、情報化社会では受身でも得られる三人称情報が肥大し、探索的な一人称と二人称の情報が不足する傾向にあります。この情報のバランスを取り戻す方法こそが「遊び」なのです。

「遊び」とは、生活的・生存上の実利の有無を問わない行為です。「遊び」の中で人は自分の事業の外に発想を向けられるため、一人称と二人称の情報が豊かになると小塩さんは言います。「遊べる」環境のなかで三人称の情報と接した時、その交点に事業が生まれる、そう小塩さんは考えています。

続いて話題は「人工知能」へ。現在のブームの中心は機械学習で、その特徴は学習による最適化です。しかしどんな情報を学習し何を最適化するかを決めるのは人間であり、その無配慮による望ましくない最適化が危惧されています。この問題に対する小塩さんの答えが、自ら立ち上げた IF Inc.です。IFでは、人工知能を人間心理や人の関係性をベースとする最適化の手段として利用し、遊び心のある企業向け製品やサービスを開発・提供しています。
我々は何を目標として生き、何を最適化しなくてはいけないのか。今後必要なのは「人間らしさ」を起点に置いた最適化であり、人工知能の可能性はヒトが「遊べる」環境を用意することにあるのでは、と小塩さんはまとめました。

ベン図をソナタのように展開しつつ事業構想、技術と人間との関係、イノベーション教育にまで繋がるお話に、深みを感じ、濃厚な1.5時間でした。

i.school2015年度修了生
小林実可子


小塩篤史さん

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株式会社IF 代表取締役社長。事業構想大学院大学 事業構想研究科 教授、研究科長。
東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程、ベンチャー創業、株式会社CSK-IS、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院、東京大学政策ビジョン研究センター、日本医科大学医療管理学教室等を経て現職。
専門領域は、データサイエンス、人工知能、技術経営、システム科学、未来学、創造工学。
人に優しく、遊び心のある人工知能・情報システムの開発を行う株式会社IFのCEOとして、営業支援・在宅就労支援などの企業向けシステムの開発、個人のライフスタイルを豊かにするアプリケーション開発、オンラインファシリテーションシステムなどを構築している。
事業構想大学院大学では、社会人大学院生対象に、クリエイティブ発想法、フィールドリサーチなどの講義を担当し、研究科長として、「事業構想」のカリキュラム構築をおこなっている。

このイベントの告知ページはこちらからご覧いただけます。
http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/programs/seminar/innotalk_07_16/

*イノトーク(innovation talk)は小人数で密度の濃いディスカッションを実現するi.schoolの非公開イベントです。

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