Feb 15, 2010

2009年度 第4回ワークショップ 「エコ・エクスペリエンスのデザイン」終了!

低炭素社会の実現が重要な社会課題であることは、今や疑いようがありません。
今後の産業には商品・サービスの開発を通して、生活者の“エコ意識”に訴え、低炭素社会の実現を促すことが強く求められるでしょう。そこでいま一度、“エコ”とは我々の生活にどんな意味を持つのかを再検討し、今、この時代のエコ体験をデザインしてみる…それによって、これからますます大切になってくる価値を見極めることができそうです。
本ワークショップでは、生活家電から社会インフラまで幅広い産業に携わる日立製作所デザイン本部の若手デザイナー達のファシリテーションにより、生活者個人の価値観を出発点に時代の気分を捉え、モノやコトに表現していくオリジナルプロセスを用いて、革新的なサービス経験のプロトタイピングに結びつける試みが行われました。

日程>2009年12/17(木)、2010年1/12(火)、1/19(火)、1/30(土)(全4回)
会場>東京大学本郷キャンパス
ファシリテーター>(株)日立製作所 デザイン本部 丸山幸伸、能田弘之、赤司卓也、川瀬麻衣子、田中久乃
協力>千葉大学グローバルアジア・デザインスクール・プログラム

今後の産業には商品・サービスの開発を通して、生活者の“エコ意識”に訴え、低炭素社会の実現を促すことが強く求められます。このワークショップでは“エコ”という言葉の示す実態を追究しながら、我々の生活にとって持つ意味を再検討し、エコ体験のデザインにチャレンジしました。生活家電から社会インフラまで幅広い産業に携わる日立製作所デザイン本部の若手デザイナー達のファシリテーションにより、オリジナルの手法やツールを用いてデザインワークまでのプロセスを体験しました。

<0日目>
参加者には事前宿題が課されました。それは、「自分がエコっぽいと思うものをふたつ持参する」というもの。写真、または実物でも構いません。

<1日目>プロジェクトオリエンテーション
冒頭、日立デザイン本部ファシリテーターの皆様による、テンションの高い自己紹介とオリエンテーションで、あっという間に和やかになった会場。ワークショップ全体のオリエンテーションに引き続き、課題の発表に及んですっかり和気あいあいモードに。各自が持ち寄った「エコっぽさ」の事例から、「エコっぽさ」をめぐる解釈は、予想以上にバリエーションが豊かであることを全員が再認識しました。そこで、次回までの宿題!それは、冬休みの経験をもとに、エコ・エレメントカード(”エコ”の個人的な経験写真+エピソードコメント)を作成する、というものです。年末年始は学生達が帰省などで全国各地に散らばります。また、千葉大学のアジア留学生が参加しているため、彼らの帰国中の事例収集が大変楽しみです。

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<2日目>“エコ”経験の分析
年も改まり新たな気持ちで集合!参加者は冬休みの間に収集・作成したエコ・エレメントカードを山のように抱えて臨みました。さっそくチームに分かれて、エコ・エレメントカードをチームメンバーで共有します。同時に、それぞれのエレメントにまつわるキーワードを直観的に挙げていき、それをポストイットに記入して、エコ・エレメントカードとともにボードに貼る、という作業を行いました。例えば、「お茶漬け」というエコ・エレメントに対しては、「余ったゴハンの有効活用」「素材が少ない」「‘食べる’と‘洗う’の同一化」といったキーワードが、また「切り開いた牛乳パック」には「新たな用途」「成仏できる」「適材適所」といった具合です。その結果、膨大なエコ・エレメントカードとキーワードがボード上に掲出されました。
ボード上に展開された無秩序なデータを整理するために、次に「評価項目」を設定していきます。これは、エコを表す幅広い切り口を意味します。これまでの作業を通して直観的につかんだエコの概念をもとに、ディスカッションによって精緻化を進めます(たとえば、「なじむ感覚」「循環している」「シンプル」「便利さを求めない」など)。そして、これらのデータはコレスポンデンス分析にかけられることになります…。

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<3日目>コンセプトメイキング
当日、各チームのこれまでの作業がコレスポンデンス分析にかけられ、美しいチャートとなってチームメンバーを待ちうけていました。本日のメニューは次元の解釈、クラスタリング、そしてアイディエーション(アイディア開発)です。まずは、コレスポンデンス分析の結果を解釈し、タテ軸とヨコ軸の意味するところを決定すること。また、データアイテムの分布を読み解き、複数のクラスターを抽出、性格付けを行い、ネーミングを行います。ネーミングの善し悪しはその後のプロセスに大きな影響を与えるため、おろそかにできません。「用途が変わる」というコンセプトを「変身エコ」、ストイックさを追求する「武士道エコ」、「蓋についたアイスクリームもなめる感じ」を「こっそりエコ」と名付けるなど、チームごとに楽しいアイデアがたくさん飛び出しました。
さらに上記の作業から、実際に新しいエコ製品・サービスを生み出すアイディエーションを行い、チームごとの中間発表を行いました。
そして、気になる最終日のデザインワークのお題を発表。それは…ペットボトルでした!

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<4日目>デザインワーク
さて、テーマは「ペットボトル」です。求められているのは「ペットボトル」の購入・使用・廃棄のプロセスを前提に商品またはサービスのデザインを考えること。必ずしも製品そのもののデザインでなくて構いません。
参加者は前回までの作業をベースに、注目するクラスターを定めてコンセプトを展開、具現化する作業を丸一日かけて行います。
デザインワークには上記プロセスにおけるステークホルダー同士の関係性に商品・サービスを置いて検証する作業も欠かせません。そこで、今回特別に体験したのが、日立デザイン本部オリジナルのサービスデザインツール・Business Origami(R)。この立体的なツール(紙製かつ繰り返し使えて、これもエコ!)は、消費者や小売店、メーカーなどを模したさまざまな形状を取り揃え、情報の流れ、お金の流れなどを平面上で一覧でき、議論を通じたシミュレーションを繰り返すことで、アイデア出しやアイデアの検証に大いに役立ちます。
終盤はプレゼンテーションの準備。デザイン・モックアップも製作します。一日ではとても足りない作業量ですが、四苦八苦しながら作業を進める各チーム。その頃には、会場に経験豊富な社会人の講評者が続々と登場…。

Aチームは「捨てる行為」をポジティブに転換させる「エコッシュポスト」なるものを考案、ロゴマークも作りました。Bチームの発表した「ソコカラエコ」はおしゃれなBOBOSエコに注目し、このクラスターを平行移動させる流れをロジカルに導きだしました。
Cチームの「Hugクム(ハグクム)ペットボトル」は母と子の食育体験につながるアイデアで、「捨てないペットボトル」を提案しました。
Dチームは「シェアース」。2本セットのペットボトルはふたりで購入、購入後の過ごした時間や環境を共有する、というコンセプトです。

いずれのプレゼンテーションも、ファシリテーター、ゲスト達の厳しくも温かい講評を受け、盛大な盛り上がりの中で幕を閉じました。日立デザイン本部ファシリテーターの皆様、これぞワークショップのエクスペリエンス・デザイン!という楽しい4日間、誠にありがとうございました!

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>ファシリテーター・丸山さんからのメッセージ
お疲れ様でした。
「…感じ」を定義できた瞬間をわすれないでね。
これから、毎日「あっ、それも俺的にはエコな感じ」って妄想に悩まされますよ。
今回、WSで学んだことは、複雑な社会課題に取り組む時のやり方の一つです。
(丸山幸伸)

>単発的なアイデアが構造化されるプロセスを体験できたところがすごく感動的でした。チームの分析マップを見て凄く納得したり、同じエコ体験でもこういう解釈が背景にあったんだと新たな発見がありました。(工学系研究科技術経営専攻)

>正直、自分のアイデアをひねり出したり、チームメンバーのアイデアの種を少し前に進めるのが精いっぱいで、全体をマネジメントしていくことや、しっかり納得いった形で発表を行うというところまで気が回りませんでした。(工学系研究科)

>抽象化の作業が困難でした。しかしその困難な作業で共通理解を深めたからこそ最終日の楽しさがあったのだと思います。(工学部社会基盤学科)

>最初から頭で思考するのではなく、まずは感覚を大切に情報を収集することが、のちに行える経験デザインに大いに役立つと感じた。デザインプロセスの中で「今は頭を使え」「今は感覚を大切に」などと、明確に時間を分けても面白そうだと感じた。 (慶応大学経済学部)

>デザインについてちゃんと時間をかけて他学科の学生と話す機会はなかったので。とても新鮮でした。その中でデザインを学んでいる身としてイニシアチブをどうとっていくか(とる必要があるかも含めて)ということを考えるキッカケになりました。(千葉大学大学院工学研究科デザイン科学専攻)

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このワークショップに参加したイノタン隊員によるレポートがこちらからご覧いただけます。
http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/innovation/?p=161
http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/innovation/?p=146
http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/innovation/?p=133
http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/innovation/?p=118

告知ページはこちらからご覧ください。
http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/programs/workshop/workshop_dec09

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